トゥーラ(トラン) 遺跡 メキシコ



巨大戦士像が並ぶ神殿 トゥーラ

「ピラミッドB」の上に立つ戦士の石像。神殿の天井を支える柱だった。
トゥーラ(ナワトル語ではトラン)という言葉は都市を意味するが、ここはトラン・シココティトラン(Tollan-Xicocotitlan)と呼ばれ、トルテカの首都だったされる。メキシコ中央高原の巨大勢力だったテオティワカンが衰退した西暦700年ころから、この地に移動してきた人々によってトゥーラ中心部の最初の都市化が始まり、1000年にかけて最盛期が訪れる。この時の人口は最大で5万5000人程度と推測されている。12世紀になると、都市の衰退が始まり、中心部の主要な建物が焼かれてしまう。しかし、都市は滅亡することなく、14世紀半ばにはメシーカ(アステカ)に占領されながら存続した。




ピラミッドBの全景
トゥーラの最大の見どころがピラミッドB。トゥーラが栄えた西暦900年ころに建設されたもので、ピラミッドの全ての壁面にジャガーや鷲のレリーフがはめ込まれ、赤を基調とした鮮やかな色に塗られていたという、壮麗な神殿だった。

 神殿の前に列柱が並ぶ形は、同時代にユカタン半島で栄えたチチェン・イッツアの戦士の神殿とよく似ている。このため、両者に交流があり、トゥーラの影響がチチェンイッツアに及んだとする説がある。

ピラミッドBの壁面にはめ込まれたレリーフ。

ピラミッドBの上から見た列柱とピラミッドC。

トルテカの戦士を象っているとされる石像。その謎めいたいで立ちのせいで、生命維持装置を付け、光線銃を持つ宇宙人という説もある。

トゥーラ遺跡の案内図。Mのマークが博物館と出入り口。




トゥーラの訪問レポートはこちら
第17回 トゥーラ遺跡


線


トルテカとケツァルコアトルの謎

ケツァルコアトル ケツァルコアトル

メソアメリカ全域で最も重要な神として知られるケツァルコアトル(羽根毛の蛇)だが、この神と同一視されたトルテカの王トピルツィンの伝説が残るのがこのトラン・シココティトランだ。

トルテカやアステカにはケツァルコアトルと共にテスカトリポカという戦闘的で生贄を要求する神がいるが、生贄の儀式を嫌うケツァルコアトルとテスカトリポカが対立し、罠にはまったケツァルコアトルはトゥーラを追放されてしまったという伝説がある。

ケツァルコアトルの像として最も有名なのは、テオティワカンのケッツァルコアトル神殿の壁に突き出したものだろう。上左の写真がその像だが羽根毛の蛇の姿が良く分かる。上中の写真は、トルテカのケツァルコアトルで、羽根毛の蛇の口から現れた人間として描かれている。上右の写真はトルテカの都市とされるソチカルコの神殿壁面に描かれたケツァルコアトル。

テオティワカンの像が示すように、ケツァルコアトルはテオティワカンでも神として信仰されていた。しかし、ケツァルコアトルの神殿は土で埋められていたのだ。このため、テオティワカンにおいてケツァルコアトル派と反ケツァルコアトル派が争い、ケツァルコアトル派は敗れてテオティワカンを捨てたとされる。その末裔が、トゥーラを築いた、トルテカだとする考えは納得しやすい。

テオティワカンを滅ぼしたのがトルテカで、彼らがケツァルコアトル信仰を引き継いだという説もある。いずれにしろ、羽根毛の蛇という神を信じたトルテカ人は、自分たちの指導者を地上に降臨したケツァルコアトルとしたのだろう。しかし、戦闘的な性格を強めたトルテカは、文化的な性格の強いケツァルコアトルと相容れなくなり、ケツァルコアトルは結局トゥーラも追われてしまったのである。

伝説では、ケツァルコアトルはトゥーラを出ていく時、「一の葦の年に戻って来る」と言い残したとされる。これを信じていたアステカの王モクテスマは、スペイン人を見てケツァルコアトルが戻ったと思ってしまい、抵抗をしなかった。ということは、アステカを滅ぼしたのはケツァルコアトルと言えるのかもしれない。

線

 



評価の基準:★★★★★=文句なしに素晴らしい、絶対お薦め。★★★★=かなりいい、是非一度見てほしい。★★★=なかなかいい、見逃すのは惜しい。★★=まあまあ、期待しないで見てみてはどうでしょう。★=特にお勧めはしません。無星=なんだこれ、見ても疲れるだけ。

テオティワカンなどと比べるとこじんまりとした遺跡だが、個人的にはこのトゥーラのほうが面白いと私は思う。ピラミッドの上に立つ石像は、宇宙人飛来説の元になっており、腰にぶら下げているのが光線銃、胸にあるのが生命維持装置だそうだ。そんな、荒唐無稽な話も、現地に立ってみると意外に信じられたりする。併設の博物館も整備されている。メキシコシティから日帰りでゆっくり行けるから、時間があればどうぞ。


 評価項目     評価
 遺跡 ★★★
 周囲の環境 ★★★
 アクセス ★★
 周辺施設 ★★★
 お薦め度 ★★★

線

 



トゥーラの町はメキシコシティから約70キロ北にある。メキシコシティの北ターミナル(Central Camionera del Norte)から、快適な長距離バスが頻繁に出ている。1等バスより高級なプレミアバスもある。

 トゥーラのバスターミナルまで約2時間。ターミナル近くの幹線道路を通る路線バスで遺跡のビジターセンター入り口に行けるが、遺跡行きはない。遺跡は近いので徒歩でも行けるが、ビジターセンターの場所が町の反対側になるため、30分程度はかかる。タクシーを使えば約15分で300円前後で行ける。

 



 
ラテンアメリカ博物館
Copyright 2016, K.Norizuki.all rights reserved