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南米ペルー 遺跡巡りの旅:第5回

太陽のワカ・月のワカ

 

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遺跡巡りの拠点、ペルー北部の主要都市トルヒーヨ

 カスマからバスで北上し、ペルー北部の主要都市であるトルヒーヨにやって来ました。ペルーを支配したスペイン人が築き上げたコロニアル都市の一つで、規模の大きさではリマに負けますが、町並みの美しさではリマを凌ぎます。

 町の中心部は植民地時代の美しい建物がよく保存されており、こうした建物を使った洒落たレストランやホテルなどが数多く見られます。

 この街の中心であるプラサ・デ・アルマスは、こぢんまりしていますが、四方をコロニアル様式の建物に囲まれた非常に美しい広場です。中央にあるモニュメントの回りはいつも多くの人達で賑っていますし、踊りなどのイベントも開かれるため、楽しく散歩できます。

 トルヒーヨの近くには、紀元100年から800年頃にかけて栄えたモチェ文化の遺跡「太陽のワカ、月のワカ」と、モチェの後に栄えたチムー王国の都市である「チャンチャン遺跡」があります。

 いずれも有名な遺跡で、一年を通して数多くの観光客が訪れます。このため、トルヒーヨの町にはこれらの遺跡のツアーを行っている旅行社がたくさんあります。料金も高くないので、個人で行くよりこれを利用する方が便利です。

 ただ、プラサ・デ・アルマスで客引きしているツアーには悪質なものがあるそうで注意が必要です。私は宿泊しているホテルがやっている旅行社のツアーに参加しました。



 トルヒーヨの中央広場、プラサ・デ・アルマス。いつも大勢の人が行き交っている。

 

最近注目のモチェ文化の遺跡「太陽のワカ、月のワカ」

 ツアーは午前中に「太陽のワカ、月のワカ」を訪ねます。16人乗りのバン2台で出発。30分ほどで、遺跡の近くに作られた博物館に到着しました。

 ここは2010年に開館した新しい博物館で、モチェ文化の土器などの出土品を展示してあります。新しいだけに、展示方法もなかなか凝っていて見応えがあります。

 モチェの土器は造形的に優れていて見飽きないため、ここでゆっくり見学していると遺跡見学ができなくなります。限られた時間で見終えると、遺跡に向かいます。ちなみに、博物館内部の写真撮影は禁止されています。

 太陽のワカと月のワカは500mほど離れて建てられた巨大神殿で、その間には町が作られていたということです。かなり規模の大きな遺跡ですが、まだ月のワカの発掘が進められている最中で、太陽のワカは発掘が進んでいないことから公開されていません。

 月のワカは、元の神殿覆い隠す形で新しい神殿を造るという方式を何度も繰り返して巨大化させたそうです。このため、内部からは増築によって埋もれた古い神殿の壁が発掘されています。そこには当時とあまり変わらない鮮やかな彩色の壁画が残されています。


月のワカの外観。まるで土木工事の現場のようだ

神殿の内部から発掘された彩色壁画。長年土に埋もれていたため完全に近い形で残っている。

鮮やかな色と優れたデザインがモチェ文化の高度さを示している。

創造の神アイ・アパエク(Ai Apaec)を描いたとされる鮮やかな彩色画

 

頂上に登って太陽のワカを望む

  下の写真は月のワカの全体図です。画面右上の南側から頂上に上り、北側にある大壁画の方に進みます。

 印がついた頂上部分に登ると、隣接した住居跡の先に太陽のワカを遠望することができます。太陽のワカはまだ発掘が進んでおらず、この地方の遺跡に多い泥の山としか見えません。


月のワカの全体図。他に類がないほど壮麗な神殿だった。

神殿の頂上部の発掘も進んでいる。無数のアドベを積み重ねているのがわかる。

月のワカの頂上から見た景色。手前が住居跡。その先の泥の山が「太陽のワカ」

 

驚きに満ちた彩色巨大壁画

 この遺跡のハイライトは北面に残る大壁画です。下写真の巨大な屋根が掛けられた壁面全体に、様々なデザインの彩色画(レリーフ)が描かれています。これだけの迫力の壁画はアメリカ大陸では他に例がないでしょう。これだけのものが、これまで日本ではほとんど紹介されなかったことが不思議です。

 壁面は七層に分けられ、各層に同じデザインの画が繰り返し描かれています。最下層は捕虜と神官、第二層は手を繋いだ踊り手、第三層はクモ、第四層は漁師、第五層はドラゴン、第六層は天空を示す蛇、第七層は創造神アイ・アパエクということです。ただ、上の層ほど保存状態が悪く、何が描かれているか判然としないのが残念です。

 ここは、生贄の儀式を行った場所でもあるそうです。ペルーの海岸部は広大な砂漠地帯で水が非常に貴重だったことから、戦争によって捕らえた捕虜をここで生贄に捧げて雨乞いをしたということです。古代文明というのはマヤも同じですが、かなり怖いですね。

 

離れてみると壁面がいかに大きいかわかる。

六層に分かれた大迫力の壁面。上の層は表面の損傷が大きい。

比較的良く保存された中程の層の壁面。下は首を繋がれた捕虜、中は儀式の踊り手達、上は蜘蛛のデザイン。

モチェの神話の世界を現したという細密壁画。高度な芸術性を感じる。

神殿の頂上につながる坂の壁面。この坂を捕虜たちは首縄で繋がれて生贄にされるために降りてきたそうだ。

おどろおどろしい蜘蛛のデザイン。

月のワカの大壁面の再現図

 

 

モチェ文化の素晴らしさが分かる遺跡

 月のワカは期待以上の遺跡でした。特に、北側の大壁面は凄いです。これまで、中南米の様々な文明の残した壁画を見てきましたが、これだけの大きさと迫力がある壁画は初めてです。

 この壁面は公開されてまだ日が浅いらしく、これから注目されるようになって行くと思います。ペルーと言うと、どうしてもインカ文明となってしまいますが、モチェは芸術性が高い優れた土器をたくさん作っていることからも、もっと関心を持たれていい文化だと思います。

 この「太陽のワカ、月のワカ」も、いずれは世界遺産に登録されることになると思います。

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