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南米ペルー 遺跡巡りの旅:第14回

インカ帝国の首都 クスコ

 

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雨季の最中のクスコに到着

 ペルーアンデス山中、標高3400mに位置するクスコにやってきました。雨季のクスコは連日雨が降り、飛行機が予定通り飛ばないことが多いようです。私の飛行機も悪天候のため1時間半ほど遅れました。

 クスコは富士山頂とあまり変わらない高さですから、空気が薄く、人によっては高山病を引き起こします。この街には25年前に来たことがありますが、だいぶ時間が経っていますのでちょっと心配しました。特に問題は起きませんでしたが、歩くと足が重いとか、息切れしやすいなど、空気の薄さはやはり感じます。

  クスコは、かつてインカ帝国の首都でした。侵入者であるスペイン人は、壮麗なインカの都を破壊して、植民(コロニアル)都市クスコを築きました。その際、インカが築いた石の土台や壁を生かし、その上にスペイン風の建物を建てたのです。

 中南米にはこうしたコロニアル都市が数多くありますが、クスコの街は他の多くの街と比べて、古い建物の保存状態がよく、コロニアル風の町並みも広範囲にわたってよく維持されています。

 それでも、25年の年月の流れは街の様子を大きく変えました。以前より旅行者が格段に増え、それに伴って、ホテル、レストラン、土産物屋、旅行社も大幅に増えました。街全体を見ても、以前は田舎っぽい雰囲気が溢れていたのに、今は洗練された綺麗な店が多くなり、特に中心部に高級なホテルやレストランが多いのには驚きました。

 旅行者の主体が、かつての私のようなバックパッカーから、豪華旅行をする金持ち階級に移っているのが分かります。 


飛行機の窓から見たクスコ

 

金色に輝くインカ皇帝像がある中央広場

 クスコの見所は、まずは中央広場であるプラサ・デ・アルマスです。この周囲には、旅行者向けのレストランやバーなどが集まっており、観光客や地元の人たちでいつもにぎわっています。昔は、質素な公園でしたが、今は中央に大きな噴水があり、その上には金色に輝くインカ皇帝の像が乗っています。

 広場に面してカテドラル(司教座聖堂)とラ・コンパニーア・デ・ヘスス教会という石造りの二つの巨大な建築物が建っています。

 カテドラルは建設するのに100年もかかったそうで、主祭壇は300トンもの銀を使って作られました。また、鐘楼に吊るされた鐘は南米最大とされています。

 一方、カテドラルより大きく、立派に見えるのがラ・コンパニーア・デ・ヘスス教会です。これは、建設当時、クスコの大司教が「カテドラルより立派な建物は駄目」と建設に反対をしたにもかかわらず、イエズス会が無理やり建ててしまったということです。

 広場の周囲には、二階建ての典型的なコロニアル様式の建物が連なっています。この建物は、一階の通路の上にせり出した二階を等間隔に並べた柱で支えています。スペインのコロニアル様式によく見られる柱廊という形ですが、これだけ規模の大きい柱廊を持つ街並みは中南米全体でも数が少なく、貴重な景観です。


アルマス広場の噴水とインカ皇帝像。後ろはラ・コンパニーア・デ・ヘスス教会。

アルマス広場からサクサイワマン要塞(後方の小高い丘)を望む。

100年がかりで建設されたカテドラル。

アルマス広場の周囲の建物は雨でも動きやすい柱廊になっている。

 

カミソリの刃も通さない美しい石組

 次の見所は、インカ時代の美しい石組みでしょう。プラサ・デ・アルマスの北東に位置するアトゥンルミヨク通りにはカミソリの刃も通さないと言われるほどピッタリと巨石を組み合わせた見事な石組みがあり、中でも12の角を持つ石は有名です。

 この石組みは、インカ皇帝だったインカ・ロカの屋敷だったとされる建物の土台です。現在は宗教美術博物館となっている建物の土台となっている石垣は、北面のアトゥンルミヨク通りだけでなく、他の三面にもあります。

 西面には、立派な石組みで作られた出入り口があるのですが、この右側上部には12角を上回る14角の石があります。小さな石なので、あまり注目する人はいないのですが、インカの石組みの見事さを示す見本のような石だと思います。

 また、最近は東面の立派な石組みが注目されるようになっています。ここには、インカの世界観を示したピューマと蛇が石の形で現されています。向かいの土産物屋では、それを示す絵葉書を売ったりしています。


アトゥンルミヨク通りの有名な12角の石。

宗教美術博物館西側の出入り口に組み込まれた14角の石(中央のギザギザ型)。



 東面の立派な石垣。言われないと分からないが、これはピューマの形をした石組みだそうだ(右写真でピューマの形を示す。右半身ももちろんある)。
 

 

黄金で飾られていた太陽の神殿

 プラサ・デ・アルマスの南東に位置するサント・ドミンゴ教会が建つのは、インカ時代はコリカンチャと呼ばれるインカ帝国で最も重要な太陽の神殿だったところです。

 インカの言葉であるケチュア語でコリカンチャは「黄金の場所」といった意味で、ここには大量の黄金を使った装飾品が並んでいたそうです。スペイン人はそれらの黄金を奪い取った上、土台や石壁だけを残して神殿を破壊してしまいました。

  いまは、神殿の基礎部分を復元する工事が進められており、南西側に作られた芝生の広場から美しいインカの石垣を見ることができます。

 インカの石組みは、建物によって作り方が異なります。前述の12角の石を持つインカ・ロカの屋敷の石垣は大胆で遊び心があるのですが、コリカンチャは緻密で整然としており、面白みには欠けるものの美しさが際立っています。神の住居には、寸分のくるいもなく整った美しさが重要だったのでしょうね。  


南西側の広場から望む復元されたコリカンチャの石垣。

美しいカーブを見せるコリカンチャ独特の石組み。

コリカンチャの高い石垣は見事に美しく整えられている。

 

クスコの街を散策で楽しむ

 クスコの良さは、なんと言っても町並みの美しさと、歴史の積み重ねが生んだ情緒にあります。それを楽しむには散歩が一番です。

 坂が多いために歩くのが大変な場所もありますが、そういう所ほどバラエティに富んだ景観が楽しめますし、意外なところに洒落たコーヒー屋やケーキ屋があって、歩くのが楽しくなります。

  散歩にお勧めなのは、街の北西、サクサイワマン要塞に向かう坂道です。勾配がきついので、ちょっと息苦しいですが、坂を上ると、サン・クリストバル教会があります。この辺りからは、プラサ・デ・アルマスを中心としたクスコ中心部が一望できるのです。

 私は、サン・クリストバル教会の門番をしている人と仲良くなり、教会の横に立つ高い鐘楼に登らせてもらいました。そこから見るとプラサ・デ・アルマスがよく見え、赤瓦を使ったクスコの美しい景観を存分に楽しめました。


カテドラルの裏側から続く坂道。

サン・クリストバル教会近くの細い坂道。この辺りからも街が見える。

サン・クリストバル教会の鐘楼から見たアルマス広場。

 

クスコで食べた鱒料理は最高だった

 クスコには食べ物はなんでもあります。特に、アルマス広場周辺には、マックやケンタなどのファストフードから伝統的なペルー料理まで様々な店があり、お金さえ出せば、食事に困ることはないですね。

 ただ、安くてうまい料理となると、なかなか探すのは難しいです。そこで、私が目をつけたのはランチです。

 ペルーでも、ランチのセットはかなり安くてお得です。昼時になると、レストランの入り口に「comida del dia」といったボードが出て、そこにメニューと価格が書いてあります。それを比較しながら、店に入るわけです。たいてい、スープ、メイン、飲み物がセットになっていますから、注文はメインを選ぶだけで簡単です(店によってはスープやサラダを選択する場合もある)。

 ある日、クスコの街を歩いていると、ビジネスマンで賑わっている店を見つけました。ランチの価格は400円くらいで、メニューは肉や魚で8種類くらいありました。私は、その中のトルーチャ(鱒)というメニューに惹かれて店に入り、鱒のフライを注文しました。

 出て来たのは大きな鱒の半身で、味も抜群でした。この旅行中、5回ほど鱒を食べましたが、これが最高でした。ペルーでは、多くの街で鱒料理がありますので、機会があれば味わってみてください。


クスコで食べたランチの鱒料理。スープと飲み物が付いて400円くらい。

 

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