ソチカルコ遺跡

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メキシコ中部 遺跡巡りの旅:第16回

ソチカルコ遺跡

 

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クエルナバカからソチカルコにバスで行く

 今回は、クエルナバカからバスで1時間弱の所にある世界遺産の遺跡ソチカルコに行きます。

 ソチカルコ行きの直行バスは朝早い時間しかないようで、私が街中のバスターミナル着いた時には出た後でした。市バスのターミナルから出る路線バスでも遺跡に行けるのですが、そこまで行くのが面倒です。このターミナルから出るバスで途中まで行き、路線バスに乗り換えたほうがいいと聞き、そうすることにしました。

 40分ほどで幹線道路から遺跡に向かう道路の分岐点に着きました。バスを降りると、そこは気温40度くらいありそうな炎天下の路上でした。周囲には、陽炎がたつような乾燥した大地が広がり、遺跡がある山がはるかかなたに霞んでいます。

 道路脇に小屋があったので近付いてみると、食堂らしきテラスで男性がビールを飲んでいます。遺跡行のバスのことを聞くと、「ここを通るよ」と教えてくれました。そこでバスを待ったのですが、一向に来る気配がありません。

 厳しい暑さにうんざりしていた時、ちょうど地元民を乗せたタクシーがやって来ました。運転手に遺跡までの料金を聞くと40ペソ(320円くらい)と言います。「高いね!」と言うと、「じゃあ30ペソ」とすぐに値段が下がりました。よかったのは、この運転手が話し好きで、車内での会話が弾んだことです。田舎のタクシーにはこういう気のいいおっちゃんが多いのです。
 

山の上に続く道路。右に見えるのが博物館、左に遺跡がある。


テオティワカンに代わってメキシコ中央高原を支配

 タクシーが遺跡に近づくと、運転手が「遺跡に行くのか、博物館に行くのか」と聞きます。ここは博物館と遺跡がかなり離れていたのです。一般的には博物館を見るのが先ですから、そちらに行ってもらいましたが、それで正解でした。訪問客はまず博物館入り口でチケットを買い、館内を見た後で遺跡に行くという順路なのです。

 博物館は遺跡併設の施設としてはかなり立派で、展示品も充実している方です。展示にはソチカルコ全体の縮尺模型があり、どのような遺跡かが簡潔に解説されています。それによると、ソチカルコとは「花の家の場所」という意味で、1770年に発見された遺跡です。都市は西暦700年から900年にかけてのメソアメリカ各地域の都市の特徴をすべて備えているそうで、小高い丘の上に築かれているのは外敵の攻撃から守りを固めるためと考えられるということです。

 どのような人たちがこの都市を築いたかということについては、はっきりしません。以前は、トルテカ文明の遺跡とされていたのですが、現在では、トルテカそのものの存在が怪しくなっているのです。ただ、テオティワカンが衰退すると同時に、メキシコ中央高原の力の空白を埋める形でソチカルコが繁栄していきます。

 一説では、テオティワカンにいた羽毛の蛇・ケツァルコアトル神を崇める勢力が別の神を崇める勢力と対立して分離し、ソチカルコなどの都市を築いたとされます。これを裏付けるのが、テオティワカンのケツァルコアトルの神殿が埋められてしまっていたことや、ソチカルコの中心施設としてケツァルコアトル神殿が築かれていることなどです。


ソチカルコ遺跡の鳥瞰模型。

博物館の展示は結構充実している。

球技場のゴール石。穴にゴムボールを通すと勝ちとなる。

最も特徴的な羽毛の蛇のピラミッド

 博物館を見終わると、表示に従って遺跡に向かいます。古代人が作ったという道を5、6分歩くと遺跡の入り口に到着です。そこから遺跡の南側にある石碑の広場まで200mほど道路を辿ります。遺跡の石垣では大きなイグアナが日光浴をしていますが、観光客の姿はほとんど見えません。

 この遺跡はかなり規模が大きく、まだ修復が進んでいない場所がほとんどだそうです。ただ、私が20年前に来た時は、全体が修復工事中で見るべきものはあまりありませんでした。その時と比べると雲泥の差で、ピラミッド型神殿などがかなり復元されています。

 石碑の広場は、中央に絵文字が記された石碑が立ち、東と西に神殿、北にソチカルコ最大の建築物である大ピラミッドが聳えます。その構造から、宗教的に重要な役割を持つ神聖な場所であったことが推測されます。

 大ピラミッドの横を北に階段を上っていくと、基本広場と名付けられた、石碑の広場より少し広い場所に出ます。ここは都市の中でも高い位置にあり、西にアクロポリス、東に住居、南に3つの石碑の神殿が配置されています。この真ん中付近にあるのが、羽毛の蛇ケツァルコアトルの神殿です。

  案内板では「羽毛の蛇のピラミッド」としている神殿は、ソチカルコで最も特徴的な建造物です。構造的にはテオティワカンの影響が強く、周囲の壁全面にダイナミックな羽毛の蛇のレリーフが施されています。また、蛇の間にはマヤの神官が座っており、マヤとソチカルコの強いきずなを示しています。


博物館から見た遺跡。かなり遠そうだ。

石碑の広場の中心には絵文字が彫られた石碑が立っている。向かいは西の神殿。

石碑の広場に面してそびえる大ピラミッド。

基本広場にある羽毛の蛇のピラミッド。

壁面には羽毛の蛇とマヤの神官が浮き彫りされている。

球戯場は見たが、天体観測所は見れず・・

 ソチカルコは広くてアップダウンがきつい遺跡ですから、一周するだけでも大変です。室内はないので、炎天下を長時間歩かなくてはなりません。木陰を探し、休み休み歩いたのですが、疲れのせいでちょっとしたミスを犯しました。

 遺跡の見どころである天体観測所の場所がよく分からなかったため、先に南の球戯場を見に行ってしまったのです。この球戯場は規模が大きく、綺麗に整備されているのですが、遺跡の中心からはかなり距離があるのです。そこまで往復しただけで、ひどく疲れてしまい、もう、見学は十分と思ってしまいました。

 しかし、後で調べると、 この遺跡の天体観測所は、地上にあけた穴から光が差し込む洞窟になっているそうで、他の遺跡にはない面白さがありそうです。もう少し調べるべきだったと、後悔しても後の祭りです。ただ、遺跡そのものは、整備が進みなかなかいい感じになっていると思います。

 ソチカルコは1999年に世界遺産に登録され、全体的な整備が進んだことで注目度がアップしています。観光客はまだ多くはないのですが、学校の学習などで訪れる人がかなり増えたようです。今後、さらに調査や整備が進むことで、新たな発見があり、注目度がさらに高まる可能性があると思います。

 ところで、帰りは遺跡の前を通るローカルバスでクエルナバカに戻ることにしました。のんびり走るバスで、この時は、1時間半くらいで市場近くのバスターミナルに着きました。乗り場が街の中心部から離れているのが難点ですが、時間の制約がないなら、行きもこのバスを使った方が楽かもしれません。


アクロポリスから見た基本広場と羽毛の蛇のピラミッド。

遺跡内はアップダウンが多い。正面の階段を上ると基本広場に出る。

規模が大きい南の球戯場。

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「第17回」に続く

 



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