テオティワカン 遺跡

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メキシコ中部 遺跡巡りの旅:第14回

テオティワカン 遺跡

 

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メキシコシティ近郊の定番観光地

 今回は、メキシコシティ近郊の定番観光地となっているテオティワカン遺跡に出かけました。

 私は34年前に一度ここに行ったのですが、それ以来、機会は何度もあったものの、行きませんでした。なぜかと言えば、最初の印象があまり良くなかったからです。今回は、前回の訪問から長い時間がたったため、遺跡の発掘や修復が進んだところを見たいと思ったのです。

 テオティワカン行きのバスはメキシコシティの北ターミナルから出ており、遺跡の南西側の入り口まで約1時間ほどで着きました。地図によると遺跡の出入り口は5カ所あり、南西口から入るのであれば、この近くにあるケツァルコアトル神殿を見てから北に位置する太陽のピラミッドを目指すのが効率的です。ところが、帰りのバスに乗るにはここに戻る必要があると思い込んだ私は、ケツァルコアトル神殿を後回しにして、太陽のピラミッドに向かってしまったのです。

 

死者の大通りを北に向かう。右奥に太陽のピラミッドがある。


炎天下の死者の大通りを歩き、太陽のピラミッドに登る

  広大なテオティワカンは、死者の大通りという広い道が南北に貫いており、この両側にピラミッド神殿や宮殿、住居跡などが並んでいます。

 私たちが遺跡に入った場所から太陽のピラミッドまでは約2厠イ譴討い襪里任垢、周囲には高い建物や樹木がほとんどなく、日陰もないのです。高原の砂漠地帯ですから、強い日差しが容赦なく照り付けます。気温は40度近くあるでしょう。脱水症状を起こさないように、途中で買った水を飲みながら、炎天下を歩き続けました。

 周辺の見学をしながら1時間ほどで太陽のピラミッドに着きました。しかし、目の前にそびえるその大きさに、頑張って登ろうという気持ちがなかなか出てきません。大勢の観光客が登っていくのを見て、私もなんとか頑張って登り始めました。 

 太陽のピラミッドは高さが65mあります。メキシコでは、第12回で紹介したチョルーラのピラミッドがほぼ同じ高さですが、登るのはこちらの方がはるかにきつい感じです。ちなみに、メキシコ・中米地域で最大のピラミッドはグアテマラのエル・ミラドール遺跡にあるラ・ダンタで、高さが72mもあるそうです。


蛇とジャガーの宮殿などがある西プラザ。死者の大通りの両側にはこのような建造物が並んでいる。

大通りの途中にある大きな広場。日陰がほとんどなく、直射日光に焼かれて暑い。

太陽のピラミッドの正面。やはりでかい。

ケツァル鳥と蝶の合体ケツァル・パパロトル

  頂上に着くと、目の前の死者の大通りと、その北の突当りに高さ47mの月のピラミッドが一望できます。遺跡の景色はなかなかいいのですが、周囲の自然は茫漠たる荒野が続いているだけという感じです。頂上にはパワースポットとされる小さな金属が埋め込まれていて、それに触ろうとするメキシコ人が集まっています。日本人より迷信深いメキシコ人の方がパワースポットのような見えない力に対する関心が高い感じがします。

  太陽のピラミッドから降りると、暑さと疲れで、それ以上歩きたくなくなりました。しかし、まだ、月のピラミッドや宮殿が残っています。さすがに、もう月のピラミッドはいいという感じでしたが、ケツァル・パパロトルの宮殿だけは見たかったので、疲れた体を引きずるように宮殿へと向かいました。

 遺跡の北西の入り口から月のピラミッドに向かう途中にあるのが、ケツァル・パパロトルの建物や羽毛のある貝の神殿です。テオティワカンには繊細な彫刻が少ないのですが、ケツァル・パパロトルの宮殿の柱にはケツァル鳥と蝶(パパロトル)を合体させたレリーフが施されています。また、宮殿の屋根には天体観測用と言われるマーカーが等間隔に設けられており、庭に張った水に映るマーカーを頼りに星の動きを見ていたということです。


太陽のピラミッドの階段から眺めた死者の大通りと月のピラミッド(右奥)。

ケツァルパパロトルの神殿内部。

ケツァルパパロトルのレリーフが施された柱。

羽毛の蛇が並ぶケツァルコアトル神殿

  本来であれば、これで見学を終え、近くの出入り口から遺跡の外に出てバスを待てばいいのですが、まだケツァルコアトルの神殿を見ていません。仕方なく、今度は死者の大通りを戻ることにしました。

 行きは、それでも周囲の建造物や遺構を見学しながらでしたので、それほどきつくはなかったのですが、帰りは炎天下をひたすら歩くのみです。しかも、死者の大通りが平坦なのは太陽のピラミッドの少し先までで、そこからは広場に続く階段を上ったり下りたりの、アップダウンがあるのです。

 ケツァルコアトルの神殿を取り巻くシウダデーラの城壁まで辿り着くとへとへとになっていました。神殿は、高さが20mある中型のピラミッドで、その特徴は正面の壁面を飾る美しい彫刻群にあります。シティの人類学博物館には実物大の復元模型がありますが、彩色された彫刻群の美しさは格別です。

 以前はピラミッドの下の見学通路を通って見たのですが、現在は向かいの神殿の上に登って見るようになっています。ピラミッドの壁面に据え付けられた羽毛の蛇ケツァルコアトルや雨の神トラロック(トラロックではないという説もある)の像が近くで見れるように、神殿の途中まで降りることができる見学路も備えられています。

 この神殿は西暦200年ころに作られたということですが、当時の彫刻がほぼ完全な状態で残っています。これは、神殿が埋められてしまっていたからです。その理由は、テオティワカン内部での権力抗争によるものとされていますが、実際に何があったのかわかっていません。

 しかし、この彫刻群を見ると、当時の人々の神に対する思いや神殿作りに対する情熱のようなものが感じられます。博物館のイミテーションとは異なる迫力があり、やはり、あきらめずにここまで来てよかったと思いました。


城壁のようなテラスに囲まれた大きな広場の中に神殿がある。

手前の神殿の後ろがケツァルコアトルの神殿。彫刻の壁面は間にある。

神殿の壁面に並ぶ彫刻。

羽毛の蛇ケツァルコアトル(左)と、雨の神トラロック(右)だが、右が何を現しているか様々な説がある。

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「第15回」に続く

 



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