この旅の出発地メキシコシティに戻り、アステカ帝国の代表的な遺跡であるテンプロマヨールに出かけました。 メキシコシティは、元々、古代アステカ帝国の首都テノチティトランがあった場所です。この地を征服したスペイン人たちは、壮麗な宮殿や寺院が立ち並ぶ都市を徹底的に破壊し、その上に植民都市を築きました。このため、現在のメキシコシティ中心部の下にはアステカの都の土台が埋もれているわけですが、長い年月の間に、それは伝説となってしまっていたのです。 ところが、1978年2月に、シティの中心にある大聖堂カテドラル近くで工事を行っていた電力会社の作業員が、地下部分でレリーフが施された石を見つけたのです。その後、地下の調査が行われ、この周辺に大規模な古代遺跡が埋まっていることが確認されました。ただ、隣接する大聖堂や国立宮殿の下は手が付けられないため、作業が可能なテンプロマヨールが埋もれている部分のみの発掘調査が進められたのです。 私がメキシコシティに初めて行った1980年は、まだ、遺跡の発掘が進められていた時で、一般公開はされていませんでした。二度目の1994年には遺跡が公開され、発掘された遺物は隣接の博物館に展示されていました。そこから大きく変わっていることはないと思いますが、以前の記憶があまりないため、初めて見るような感じで期待していました。
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