マヤの世界を旅する

 

マヤ文明の古代遺跡やマヤの末裔の村などは、メキシコ南部から中米のグアテマラ、ベリーズ、ホンジュラス、エルサルバドルまで5カ国に及ぶ広範な地域にわたって点在する。

また、この地域は美しいビーチや珊瑚礁、熱帯林、湖などの豊かな自然環境を有しており、エコツアーも盛んに行われている。

バラエティに富んだ楽しみ方ができる「マヤの世界への旅」では、行きたい場所やテーマによるルート選びが重要になる。ここでは、この地域を旅したいと考えている人のために、参考になるモデル・ルートと各地の見所を紹介する。

 



 マヤ世界を巡るルートとしては、以下のような6つのモデルルートが考えられる。

チチェン・イッツア、ウシュマルなど、世界遺産の巨大遺跡やビーチリゾートのカンクンなどがあり、最も人気が高いゴールデンルート。
世界遺産のカラクムル遺跡を筆頭に、一般にはあまり知られていない良質な遺跡が多い。ちょっとマニアックなルート。
パレンケやヤシュチランなど神秘的な遺跡がある。マヤの先住民が多く住む地域もあり、観光開発が盛んな人気上昇中のルート。
マヤ文明の最盛期に数多くの都市が林立したジャングル地帯。ティカルやコパンといった魅力的な遺跡が多い。遺跡探検の醍醐味が味わえる本格ルート。
遺跡は多くないが、マヤの先住民が暮らす町や村が数多くある。マヤの独特な文化を知り、山間部の美しい景色を堪能できる、自然と文化ルート。
他の国に比べ観光開発が遅れているが、その分、手付かずの自然に囲まれた遺跡が多い。エコツアーと同時に遺跡探検が楽しめる穴場ルート。

 

 

マヤ地域で最も観光化が進んでいるのがユカタン半島の北部。半島の北東部にはメキシコ最大のリゾート地カンクン、 北西部にはマヤ遺跡巡りの拠点であるメリダがあり、いずれも多くの観光客でにぎわっている。



カリブ海に面したトゥルム遺跡

 

カンクンからトゥルム、コバ遺跡

多くの旅行者が滞在し、旅の起点ともなるのがカリブ海の一大リゾートであるカンクン。ここバスでから南に下ると真っ青な海に面したトゥルム遺跡がある。

トゥルムだけなら日帰りで行って来れるが、ここまで行くなら、近くにあるコバ遺跡やグラン・セノーテにも足を運びたい。遺跡近くにあるトウルムの街まではカンクンから高速バスが頻繁に走っているし、ホテルも街や遺跡周辺に数多くある。

コバ遺跡までは、トゥルムの街から午前中に数本の高速バスが出ている。所要時間約1時間。その道の途中にグラン・セノーテという地下の湖もある。

カンクンからチチェン・イッツア、エク・バラン遺跡

カンクンから西に向かうと、チチェン・イッツアエク・バラン遺跡がある。

チチェンイツアはマヤの中では最も有名な遺跡で、一年を通して多くの観光客で賑わう。エク・バランは新たに発掘と修復が行われた新しい遺跡だが、見事な彫刻が施された王墓などが残されている。

カンクンからは、エク・バラン遺跡の近くにあるバジャドリッドという街までバスで2時間半くらい。そこからは、エク・バラン遺跡までタクシーで約30分、チチェンイツアまではバスで1時間ちょっとだ。

バジャドリッドはコロニアルスタイルが美しい、静かな落ち着いた街で、欧米の観光客に人気がある。

メリダからウシュマル、カバー、ラブナ遺跡

マヤ遺跡巡りの最大の拠点は、ユカタン半島北西部に位置する大都市メリダだ。

この周辺にはウシュマルカバーラブナサイルなどの遺跡がある。特に人気が高いのがプーク様式の壮麗な神殿群が残るウシュマルとカバー遺跡だ。この2つの遺跡は同じルート上にあり、ローカルのバスで行くことができる。

プーク様式を存分に楽しみたい人には、さらにラブナ、サイルなどを加えた5つの遺跡を回る「ルータ・プークツアー」も毎週末に催行されている。ツアーの申し込みは1等バスターミナルでできる。



ユカタン半島の南部は近年になって遺跡の発掘調査が進んだ地域。この地域にも数多くのマヤ遺跡があるが、その多くはまだ修復や整備が十分でなく、アクセスが悪い遺跡も多い。

中心都市、チェトゥマルは海に面した商業都市で旅行者向けのホテルやレストランも多い。遺跡巡りであれば、世界遺産都市のカンペチェから出ているツアーを利用すると主要な遺跡を訪ねることができる。



密林に埋もれた世界遺産カラクムル遺跡


チェトゥマル周辺

この地域の中心都市チェトゥマルの近くにはズイバンチェ、コウンリッチなどの遺跡がある。いずれも街からタクシーでアクセスできる。また、チェトゥマルの中心部にはマヤの全体像を模型や複製などの近代的な展示によって説明するマヤ文化博物館がある。

シュプヒルからカラクムル遺跡

チェトゥマルから西にバスで2時間ほどのところにあるのがシュプヒルという小さな町。この周辺に遺跡が多いため、この街をベースに遺跡巡りをする人が多い。

この地域で最大の遺跡は、世界遺産に登録されているカラクムルだ。マヤ最大の都市といわれるティカルと覇権争いを繰り広げ、一時は勝利を収めたこともある古代の大都市だ。

シュプヒルからは少し離れた場所にあるためタクシーで2時間ちょっとかかる。近年、この遺跡の人気が高まっており、近くにできた高級ホテルに宿泊し、ホテルが用意したツアーで遺跡に行く人も多い。

シュプヒル、ベカン、チカンナ遺跡

シュプヒル周辺には、シュプヒル、ベカンチカンナといった遺跡がある。いずれも、こじんまりした遺跡だが、特にチカンナ遺跡はリオ・ベック様式の華麗な神殿彫刻などが見れるため人気が出ている。タクシーを雇えば1日で付近ので3、4カ所の遺跡を巡ることができる。

カンペチェからエズナ遺跡

シュプヒルからバスで4時間ほどのところにあるのが世界遺産都市カンペチェ。非常に美しいコロニアル様式の街で、観光客も多い。ここから、カラクムルなどの遺跡巡りのツアーも出ている。

この街の近くにはエズナ遺跡があり、他の遺跡では例を見ない5層の階段状になったピラミッドがある。カンペチェ市内から遺跡ツアーが出ているが、ローカルバスで行くこともできる。所要時間1時間ちょっと。

 


 メキシコ南部のチアパス州もマヤ遺跡の宝庫だが、観光化が進んでいない遺跡が多い。遺跡巡りはパレンケの町が中心だが、サン・クリストバル・デ・ラス・カサスの周辺にはマヤ先住民の村がいくつかあり、観光ルートにもなっている。


サン・クリストバル・デ・ラス・カサスとマヤの村

サン・クリストバル・デ・ラス・カサス(ラス・カサス)はメキシコにおける先住民マヤ族の研究のメッカ。街の名前は、植民地時代に先住民保護に尽力したスペイン人神父の名前からとった。この街の周囲の山中にはマヤの人たちが住む村がいくつもあり、街中でも様々な民族衣装を着たマヤの人たちの姿が見られる。

ラス・カサスには今でもコロニアル風の落ち着いた古い町並みが残っており観光客に人気がある。このため、町の観光開発が進んで土産物屋やレストラン、カフェなどが充実している。

マヤの村は車で30分くらいのところにサンファン・チャムラシナカンタンがある。いずれもマヤの伝統を大切にする人々が住んでいる。いずれの村にもラス・カサスから定期バスが出ているので、それを利用すればいい。

トニナー遺跡からパレンケ遺跡へ

ラス・カサスからバスで半日ほどでマヤ最大の発見の舞台となったパレンケ遺跡に行くことができる。その途中にはトニナー遺跡がある。トニナー遺跡はラス・カサスからバスで2時間ほどのオコシンゴという町の近くにある。オコシンゴからパレンケに行く途中にはアグアス・アスーレスという、青い水をたたえた美しい川があり、夏は水浴びする人で賑わう。

パレンケから周辺の遺跡へ

パレンケからはボナンパク、ヤシチュランといった神秘的な遺跡に行くことができる。パレンケの旅行社でツアーを出しており、1日で二つの遺跡を巡るコースがある。



グアテマラ北部の密林ルートは、中米におけるマヤ遺跡巡りのメインロード。マヤ最大の古代都市ティカル、マヤの予言の発信地キリグア、ホンジュラスの巨大勢力コパンといった有名遺跡があり、新たに発掘調査が進んでいる遺跡も多い。

 
ホンジュラスのコパン遺跡

ホンジュラスを代表する遺跡がコパン。グアテマラシティから北部の遺跡群に向かう途中に行くことができる。

コパンの町はホンジュラスの辺境にしてはかなり観光化が進み、ホテルやレストランも多い。豊かな自然に囲まれた静かな場所で、遺跡は町から歩いて20分ほどの場所にある。

キリグア遺跡

マヤの予言の発信場所として知られる、巨大彫刻がある遺跡。グアテマラシティからプエルト・バリオスに向かう幹線道路の205kmの地点にキリグア遺跡の入り口がある。ここから遺跡までバスで10分ほどだ。

遺跡の近くにあるキリグア村には日本人が経営するホテルがあり、日本食も用意してくれる。


リビングストンからリオ・ドゥルセ

このルートは遺跡だけでなく、カリブの自然も楽しめる。お勧めはリビングストンからドゥルセ川をさかのぼるコース。プエルト・バリオスから、モーターボートで自然豊かなリビングストンに行ける。リビングストンはリオ・ドゥルセ(ドゥルセ川)の河口に位置する小さな村だが、ここの人々はマヤ系の先住民ではなく、カリブの先住民と西アフリカからきたアフリカ系の混血であるガリフナだ。

リビングストンにはドゥルセ川をさかのぼる観光ボートがたくさんあり、これでティカル方面行きのバスが通る幹線道路まで出ることができる。ドゥルセ川ではジャングルクルーズの雰囲気が楽しめる。

ティカル、ワシャクトゥン、ヤシャ、エル・ミラド−ル

マヤ遺跡巡りのハイライトであるティカル遺跡を訪ねるための拠点はペテン・イッツァ湖に面したフローレスという町。ここにはホテルがたくさんあり、ティカルまで送迎のバスが出ている。また、遺跡のそばにも数軒のホテルがある。

ティカルの北約20kmにあるワシャクトゥン遺跡には、フローレスの向かい側にあるサンタ・エレナの市場からバスが出ている。このほか、ヤシャ、ナランホなどの遺跡にはツアーがある。ただし、シーズンオフにはツアーが少ない。さらに北約70kmにはエル・ミラドールという未開発の巨大遺跡があるが、ここに行くツアーは3〜4泊のジャングルトレッキングになる。




 グアテマラ南部の高地ルートは首都グアテマラシティから西部及び北部のマヤの町や村が中心になる。遺跡はあまりないが、マヤ文化の魅力を存分に堪能できる地域だ。旅の拠点になるのは、アンティグアパナハチェルチチカステナンゴなど数多い。



グアテマラシティとアンティグア・グアテマラ

グアテマラシティの近郊にはカミナルフユ遺跡がある。マヤの最も古い時代の遺跡の一つだがだが、マヤの人々の信仰の場として使われる公園になっている。シティには国立考古学・民俗学博物館とポポル・ブフ博物館、マヤの織物を集めたイシチェル民族衣装博物館がある。

 アンティグアは昔の首都でスペイン風のコロニアル様式の町並みが残る美しいところだ。ここには外国人の長期滞在者が多く、スペイン語の学校も多い。中米旅行をする人の中には、まずアンティグアで何週間かスペイン語を勉強してから出発するという人も多い。

アンティグアの郊外にはサンアントニオ・アグアスカリエンテスという、美しい織物を作る村がある。手が込んだ織りの技術が有名だ。

パナハッチェルとアティトラン湖

 パナハッチェルはグアテマラ人が世界一美しいと誇るアティトラン湖のほとりにある町。アティトラン湖の周辺には伝統文化を大切にするマヤの村々が点在し、湖の自然も美しい。このため、昔から多くの観光客がこの地を訪れている。

ここには観光客向けのホテルやレストランが多く、価格も安いので長期滞在する人が多い。サンティアゴ・アティトランなどの対岸の村には、町の前の桟橋から定期的に出ている遊覧船で行くことができる。

神話の里 チチカステナンゴ

 チチカステナンゴはマヤを知るために外せない町だ。町の中心にあるサントトマス教会は、18世紀初めに古代マヤ文明の聖なる書「ポポル・ブフ」が発見されたことで有名になった。このため、サントトマス教会はマヤの聖地としての扱いも受けている。

チチカステナンゴでは木曜日と日曜日に市が開かれる。この日には教会前の階段に色鮮やかな民族衣装を着たマヤの女性たちが大勢集まり、持ち寄った花を売る。この光景はグアテマラの観光ポスターなどで使われることが多い。

ケツアルテナンゴと周辺の村

チチカステナンゴから西に車で1時間ほどのところにあるのが、グアテマラ第二の都市ケツアルテナンゴ。この街は、スペイン植民地時代のコロニアル様式の建物が多く残っている。

街の郊外にはアルモロンガやスニルなどのマヤの村があり、美しい田園風景と独自デザインの織物を使った民族衣装を着ている女性が多い。

ウエウエテナンゴと周辺の村

チチカステナンゴから北西に2時間ほどのところにあるのがウエウエテナンゴ。メキシコ国境に近いことから、交通や流通の拠点として経済的に発展したグアテマラでは大きい町だ。この町から20分ほどのところにスペイン軍に滅ぼされたマヤの都市、サクレウの遺跡がある。また、バスで30分ほどのところには、美しい帯の織物で有名な村アグアカタンがある。

ここから、バスで北に5、6時間ほど行ったところには、マヤの伝統文化を守り続けている美しい村トードス・サントス・クチュマタン、さらに北へ山中を進むと、太陽をデザインした民族衣装で有名なサンマテオ・イシュタタンがある。

こうしたマヤの村は、現代社会から切り離された別世界のようで、美しい自然と優しい文化がおとずれる人を迎えてくれる。ほとんどの人は親切で、気軽に声をかけてくる人も多い。居心地がいいため村に長期滞在する旅行者も多い。





ベリーズにはマヤの遺跡が多く、熱帯林や珊瑚礁などの自然も豊かなため、近年、観光地として注目を集め出している。中米諸国の中でも開発が遅れているため、交通手段やホテルなどは十分に整備されているとはいえない。ただ、欧米の観光客が多く、遺跡巡りはそれほど難しくはない。

オレンジウォーク

何もない田舎町だが、観光客向けのホテルがあり、ラマナイ遺跡とアルトゥン・ハ遺跡へのツアーが出ている。ラマナイ遺跡に行くボートツアーは、熱帯林の中の川を高速ボートで走り、途中、ワニやサルなどの野生動物を楽しむエコツアーになっている。遺跡も原生林に包まれて神秘的だ。

サン・イグナシオ

ベリーズシティからバスで3時間ほど。グアテマラ国境に近く、マヤ有数の遺跡地帯に位置する町。国境を越えてグアテマラのティカル遺跡などにも行ける。

この地域にはカラコルシュナントゥニチカハルペチといった遺跡がある。見所は、ティカルと覇権争いを繰り広げた古代都市カラコル。ツアーは町の旅行社が出している。

シュナントゥニチ遺跡は町からタクシーで30分くらい、カハルペチ遺跡は町から歩いて30分くらいで行ける。






ラテンアメリカ博物館
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