湖に浮かぶフローレス

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中央アメリカ 遺跡と自然巡りの旅:第7回

グアテマラ

遺跡巡りの町 フローレス



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グアテマラシティからフローレスへ

グアテマラのマヤ遺跡の多くは、北部のペテン県に位置しています。西暦250年から900年にかけての古典期には、この地域がマヤ文明の中心地として栄え、数多くの古代都市が建設されたのです。このペテン県の県都がフローレスで、現在ではマヤ遺跡巡りの中心基地として賑わっています。

  フローレスに行く手段には飛行機とバスがありますが、今回は値段が安いバスを使うことにしました。アンティグアからは、シャトルバスでグアテマラシティのバス乗り場まで行き、夜10時発の長距離バスに乗ります。以前は、乗り心地が最悪のチキンバスで12時間かかったルートですが、現在はエアコン完備の豪華バスで10時間で行くことができます。ただし、冷房が効きすぎるので温かい格好がお勧めです。価格は180〜190ケツアル(3000円くらい)です。

  バスは、予定通り朝7時前にフローレスに到着。そこにはツアー会社のバスが待っていて、乗客の希望に合わせて、ホテルに行くか、遺跡に行くかを選べるようにしています。ただ、何をするにも早すぎる時間のため、ツアー会社の言いなりになってしまうのは困ります。

フローレスの玄関口。画面左の建物はホテル・ラマダ・ティカル。

狭い島に家が立ち並ぶ独特の景観

フローレスは、ペテン・イッツア湖という大きな湖に浮かぶ島で、陸側にある町サンタ・エレーナと長さ300mほどの橋で結ばれています。小さな島ですから、外周道路を歩いても30分かからずに1周できるでしょう。ここに、ほとんど隙間がないほど家々が建てられています。その多くにカラフルな塗装が施され、独特の景観を形作っているのです。

 島は中心部が盛り上がった高台になっており、そこに中央公園とキリスト教会があります。公園の一角からは、島の周囲を囲む湖が一望できます。特に、晴れた日は景色が美しいのです。

 この島にはかなりの数のホテルがありますが、その多くが民宿かペンションのような小規模な宿です。私が泊まったのも、最初は地元料理のレストランがやっている民宿で1泊150Q(シングル)。二番目は、その筋向いにある専業の民宿で1泊180Q。三番目は、バックパッカー相手の安宿で、ドミトリーが40Q、シングルが70Qでした。

 この安宿は3階建ての建物で、屋上の小屋にハンモックが5〜6人分備えてありました。ここからの見晴らしが抜群によく、目の前に青々とした水をたたえたペテン・イッツア湖が広がり、その先に対岸の町が緑に包まれて見えます。ハンモックに揺られると、湖を渡る涼やかな風に包まれて、心も身体もリラックスできました。

フローレスのカラフルな町並み。

中央公園の横から見える景色。左の草葺屋根がバックパッカー宿。

宿の屋上にあるハンモック。寝転がって見る景色が素晴らしい。

タヤサルの展望台に行く!

ある日、遺跡巡りの予定が狂い、時間が余ったtめ、島の対岸に見えるタヤサルに行ってみることにしました。マヤの時代にはフローレスがタヤサルと呼ばれていたのですが、現在はペテン・イッツア湖に突き出した半島の先端部に名前が残っているのです。ここには考古学遺跡とされている小高い丘があり、フローレスを一望できる展望台が設けられています。

 実は、タヤサルという場所は、マヤの歴史にとって非常に重要な意味を持っています。スペイン人はメキシコに続いてグアテマラも征服し、マヤの部族の大半は1500年代前半には、その軍門に下りました。ところが、当時、フローレスを中心としたタヤサルを支配していたイッツア族だけはスペイン人の降伏勧告を受け入れず、抵抗を続けていたのです。

 1697年3月13日、ユカタン総督のマルティン・デ・ウルスアはイッツア族に降伏を促すため、軍船でフローレス島に向かいました。これに対し、イッツア族のカネック王は降伏を拒否して攻撃を行ったのです。しかし、圧倒的な火力を誇るウルスア軍の前に、短時間でイッツア族は鎮圧されてしまいました。つまり、この日が古代マヤ文明の最後の日となったわけです。

 島の北側の船着場から出る小さな渡し舟に乗って約10分ほどでタヤサルに到着しました。そこから、展望台を目指して、坂道を登って行きます。岸に近い場所には家が立ち並んでいますが、しばらく上っていくと、森の中に未舗装の細い道が続いているだけになります。15分ほどで、森の中に作られた小さな広場に出ました。ここが展望台への登り口で、小山に設けられた階段を上っていくと、頂上に高さ10mほどの木製の展望台が立てられていました。

 展望台からは、ペテン・イッツア湖に浮かぶフローレス島の全体がよく見えます。狭い場所にカラフルな家が所狭しと立ち並ぶ光景は、奇妙な美しさがあり、絶景です。他の方向に目を転じると、古代から変わらぬ、青い湖と深い緑に覆われた陸地が広がり、その自然の美しさが心に沁みました。

中央公園に置かれているマヤの石碑。ここに住んでいたイッツア族が残したものだろう。

ペテン・イッツア湖の渡し舟。後ろがフローレス。

タヤサルの展望台への上り口。

頂上の展望台。

展望台から見たフローレス。

ちょっと高級なレストランでピザを食べる

フローレスは飲食店も充実しています。主に外国人観光客目当てに整備発展してきたため、イタリア料理やメキシコ料理を出す店が多く、湖岸の道路沿いには、こういったレストランやバーが軒を連ねています。

 珍しい食材としては、湖で獲れる「ペスカード・プランコ(白い魚)」があります。大きなもので体長50cmくらいになる、身体に斑点がある綺麗な魚ですが、値段が少し高く、切り身を焼いた料理で100Q(1500円)ほどで提供されています。

 ある日、夕食の場所を探していると、湖にせり出して作られた洒落た感じのレストランがありました。店の造りや雰囲気から、かなり高そうだと思ったのですが、「この町は、どんな店でも価格にあまり差がない」と旅行者から聞いたことを思い出し、入ってみました。湖に面した窓際席に座ると、制服を着たウエイトレスが来て、「今日のお勧めは当店の特製ピザです」と言います。「それうまいの?」と聞くと、「うまいですよ。特にチーズが素晴らしい」と応えます。価格は65Q。特に高くはありません。私は飲み物のキューバリブレとそのピザを頼みました。

 少し時間がかかりましたが、やってきたピザは思ったより大きくて、おいしそうです。口に入れると、確かにおいしいチーズの味が広がります。ソースが少し甘いのですが、私はこういうタイプが好きです。ラムベースのキューバリブレを飲みながら、これまで食べたことのないピザの味を堪能しました。少し残したピザの端は、湖に投げ込みます。すると、たくさんの小魚が集まってきて、大騒ぎで食べ物の取り合いを始めました。

  問題は会計です。サービス料とかなんとか入って100Qは超していると思ったのですが、実際は83Q。料理と飲み物代(2杯)だけで何も加わっていません。感動した私は、10Qのチップを置いて店を出ました。 ほろ酔い加減で 「なんか、フローレスはいいところだなあ」と思えた夜でした。

湖にせり出して建てられたレストラン。

お勧めのピザがおいしかった。

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