アンティグアの街路

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中央アメリカ 遺跡と自然巡りの旅:第6回

グアテマラ

古都 アンティグア



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グアテマラシティからアンティグアへ

サン・サルバドルから「キングス・クォリティー」という、大袈裟な名前の国際バスに乗り、グアテマラにやって来ました。グアテマラシティは悪名高い犯罪都市ですから、長居は無用。すぐ古都アンティグアに向かうことにしたのですが、このバス乗り場が危険地帯にあるのです。大きな荷物を抱えてうろつくなんて、とんでもない、ということで、タクシーでバス乗り場に向かうことにしました。

  国際バスのターミナルに待ち構えているタクシーどもは、勝手が分からない旅行者からぼったくろうとする質の悪い連中です。盛んに浴びせられる客引きの声を無視して歩きます。少し離れた通りで1台のタクシーを呼び止め、価格を聞くと30ケッツアル(450円くらい)と言います。適正価格です。運転手も気のいいおっちゃんで、10分ほどでしたが、車内で話が弾みました。こういうタクシーだと少し高くても気分がいいです。

  アンティグア行きのバスは派手なペイントをした恐ろし気なチキンバス。客を身動き取れないほど大勢詰め込んでカーブの多い山道を猛スピードで走ります。3人掛け席で密着した隣のおっちゃんの身体がカーブの度に私にのしかかります。事故は怖いし、気分は悪くなるし、もうウンザリという感じでした。

グアテマラ名物チキンバス。派手だね〜。

一大観光地に変わった静かな田舎町!

アンティグアは私が最も好きなラテンアメリカの町の一つです。昔はグアテマラの首都が置かれていましたが、大地震に襲われて町が崩壊。首都が現在のグアテマラシティに移ってからは、住む人も少ない鄙びた田舎町になっていました。

  35年前、中米を旅行中だった私は、グアテマラシティのホテルの主人から「近くの山の上に綺麗な町がある」と聞き、偶然アンティグアを訪れたのです。短い時間でしたが、町中を散歩した私は、のんびりとした雰囲気とコロニアル様式の美しい町並みが気に入り、「こんなところに住めたらいいな」と思ったものです。

 それから10数年たち、環境がいいアンティグアは中南米におけるスペイン語学習のメッカとして人気化し、大勢の欧米人や日本人が住む町になったのです。このころ、二度目の訪問をした私は、町の語学校で学び、ホームステイをしながらアンティグアの生活を楽しみました。それまで、スペインや中南米の様々な都市で生活してきましたが、この町ほど居心地がいい場所はなかったと思います。

 最初の訪問から35年。三度目の訪問をした私の目に映ったアンティグアは、たいへんな観光地となっていました。

アンティグアの女子高生たち。町は賑やかで、活気に溢れている

中央広場に面して建つカテドラル。後ろの山はボルカン・アグア(水火山)。

雰囲気のいいカフェでコーヒーを楽しむ

20年前は、それほど人が多くなく、落ち着いた感じの町だったのですが、今では、大勢の人が町中を行き来していて、落ち着かない感じになりました。観光客が増えれば仕事も増えますから、多くの人が仕事を求めて町にやってきて住むようになったのでしょう。町の収入が増え、経済が良くなると、様々な施設や道路などが整備されて住みやすくなります。その代償として、静けさや落ち着きが失われるのは仕方ないことです。

 元々、欧米人に人気が高かった町ですので、彼らが好むコーヒー屋が多いのも特徴です。20年前に語学校の友人たちとよく行ったのが「ドニャ・ルイサ」というカフェでした。今回もこの店に行ってみました。昔とほとんど変わりませんが、客が増えているのは確実で、朝からほぼ満席の状態でした。この店はアメリカ式でコーヒーは飲み放題ですが、うすくて、おいしくはありません。一方、中央広場周辺にはおいしいコーヒーを出す専門店がたくさんできています。早起きして、静かな朝の町中を散歩した後、中央広場のカフェでカプチーノを飲むのが楽しみになりました。

朝の中央広場周辺。コロニアル様式の建物に設けられた柱廊は雰囲気がいい。

コロニアル様式の街路。二階建ての白い家がドニャ・ルイサ。

ドニャ・ルイサの中庭テラス席。朝から満員状態だった。

地震で壊れた教会を改修し、庭をカフェにした店。

中央広場に面したコーヒー屋さん。

町一番の見所、アルコ通り

町一番の見所は時計台のアーチがあるアルコ通り(アベニーダ5ノルテ)です。中央広場とアンティグアのシンボルでもあるラ・メルセー教会を結ぶ石畳の通りには、ホテル、レストラン、バー、土産物屋などが集まり、常に大勢の観光客が行き来しています。

  ラ・メルセー教会側からアーチを見ると、町の背後にあるアグア火山がアーチに収まる美しい風景が見られます。お勧めは観光客が少ない早朝に行くことです。コロニアル様式の古風で美しい町並みと、雲をたなびかせた富士山のようなアグア火山の組合わせは絶妙です。

アルコ通りにある時計台のアーチからボルカン・アグアが見える。

夜のアルコ通り。散歩を楽しむ観光客が多く、土産物を売る人も増える。

アルコ通りにあるワイン専門のバー。

復興したキリスト教会群

もう一つの町の見所は、キリスト教の教会群です。アンティグアには植民地時代に作られた石造りの豪壮なキリスト教会が多かったのですが、そのほとんどが地震により甚大な被害を受けました。中には完全に崩壊したものもありますが、外壁は残っても内部の天井が落ちたりして機能しなくなった建物が多かったのです。

  35年前、私は廃墟と化した教会の多さに驚きましたが、今回は、それらの教会の多くが修復され、美しく生まれ変わったのを見ることができました。中でも、アンティグアのシンボル的な教会であるラ・メルセーのファサード(正面)の美しさは際立っています。この教会は、35年前は内部が廃墟状態でしたが、いち早く復興しています。散歩の途中、朝のミサに出席すると、ギターの伴奏で聖職者が歌う美しい賛美歌を聞くことができました。そのほか、町中を歩くと古い時代の様々なデザインの教会を見ることができて楽しいのです。

ラ・メルセー教会のファサードは美しい。

サン・フランシスコ教会のファサード。地震被害の跡が残っている。

優れたデザインが特徴のサン・ペドロ教会病院の建物。

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