サン・アンドレス遺跡のアクロポリス

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中央アメリカ 遺跡と自然巡りの旅:第5回

エルサルバドル

サン・アンドレス遺跡



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サン・アンドレス遺跡へ

ホヤ・デ・セレン遺跡の見学を終え、次にサン・アンドレス遺跡に向かうことにしました。遺跡前のバス停からサンサルバドル行きのバスに乗り、幹線道路まで出たところでサンタ・アナ方面に向かうバスを探しました。この道路沿いは路線バスが頻繁に走っていますので、乗り変えは簡単です。また、サン・アンドレス遺跡の入り口は幹線道路沿いにあり、看板が立っているので分かりやすいのです。このバスの運転手も親切で、入り口で車を停車させると「ここだよ」と教えてくれました。

  バスを降り、しばらく林の中を歩くと遺跡公園の入り口があります。ここもかなり立派な施設で、遺跡と教育用の施設や公園が一体になっているのです。ただ、平日のせいでしょう、観光客も公園利用者もおらず、ひっそりとしています。

  併設の博物館に遺跡の全体模型がありました。これを見ると、サン・アンドレス遺跡は、複数のピラミッド型神殿を中心とした中規模の都市だったことが分かります。ホヤ・デ・セレンに近いため、こちらも火山噴火の被害を受けたのですが、その後、住民が戻って都市を築いたようです。

サン・アンドレス遺跡の入り口。

この地方は古代からカカオの産地だったため、庭にカカオの木が植えられている。

ピラミッド神殿が並ぶアクロポリス

サン・アンドレス遺跡の全体図を見ると、南側に小規模な建造物群が残されているアクロポリス、北側に大広場に面した大型の神殿があるようです。

  入り口から見学路を進んでいくと、まず、南側のアクロポリスにある建築物7という低層ピラミッドが現れます。サン・アンドレスの神殿は、土やアドベ(日干し煉瓦)でできているのですが、この建物は中心部を土とアドベで形作り、表面を火山の石で覆っています。こうした作りの建物はサン・アンドレスでは建築物7だけなので、特別な儀式などに使われていたのではないかと推測されます。この建物の中からはマヤ独特の儀式用装飾石器「エキセントリック」が出土しています。

  建築物7の後ろには建築物1〜4が並んでおり、その先にサッカー場ほどの広さの中央広場があります。建造物1はアクロポリスで最も大きいピラミッド型の神殿です。半分以上は土が被さっていて、全体像が見えにくいですが、復元部分からも姿のいいピラミッド型神殿であることが分かります。表面を見ると石造りのピラミッドに見えますが、これは、復元作業の際に、アドベ造りのピラミッドが崩れないように表面をコンクリートで固めてしまったものです。こういう遺跡が時々ありますが、保存のためとは言え、元の姿が見えなくては味気ないですね。

  建築物1〜4の前の中央広場は、図からも見れるように全体にアドベを積み重ねて高くしてあるのです。ここは、庶民階級の人たちは入ることができない、支配階級のための儀式の場で、生贄も行われていたようです。すこし前から、広場の下の部分の発掘調査が進められており、建築物3の前に調査用の竪穴があります。この下からトンネルが広場の北側の基盤部分に繋がっているようです。ただ、両方の入り口共に柵があって中には入れませんでした。


サン・アンドレス遺跡の案内図(左)、建造物7から出土した石器「エキセントリック」(右)。

表面が石で装飾された建造物7。

建造物1は、小さいが形のいいピラミッド型神殿だ。

中央広場と神殿群。右から左へ順番に建造物1〜4。

上写真とほぼ同じ位置から見た、広場の想像図。

最大のピラミッド、ラ・カンパーナ

中央広場の端から北方向を見渡すと、雑木林の先に小高い丘のようなものが見えます。地図で見ると、大広場の先に「ラ・カンパーナ」と名づけられた建造物5があります。これが、高さ20mという、この遺跡で最も大きなピラミッド型神殿のようです。雑草が生え放題で、道も定かではありませんが、近くまで行ってみることにしました。

 炎天下の道を雑草を掻き分けながら進むと、驚いたのか、たくさんの蝶が飛び回ります。小山のようなピラミッドの中腹には発掘中の部分があり、そこまで上って見ると、アドベ造りのピラミッドの壁面を見ることができました。外観は雑草に覆われた小山に過ぎませんが、人の手が入る前の建造物は味わいがあります。また、人っ子一人いない原野で、静かな自然が存分に楽しめました。

  グアテマラやメキシコの巨大遺跡とは比べられませんが、こうしたマイナーな遺跡もそれなりに楽しめる部分があると思います。


雑草に覆われた小山のような神殿、ラ・カンパーナ。

ラ・カンパーナの復元図。

ラ・カンパーナを発掘している場所。アドベを積み重ねているのが分かる。

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