ホヤ・デ・セレン遺跡の内部

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中央アメリカ 遺跡と自然巡りの旅:第4回

エルサルバドル

ホヤ・デ・セレン遺跡

 

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エルサルバドルの首都サンサルバドルへ

コスタリカの首都サンホセを午前3時に出発するTICAバスに乗り、エルサルバドルの首都サンサルバドルを目指しました。途中、ニカラグアとホンジュラスを経由するため、合計4カ国、3カ所の国境を走り抜けます。バスは車内の3食付きで、国境以外では基本的に止まりません。その分値段も高いのですが、時間の節約になります。

 バスがサンサルバドルのバスターミナルに到着したのは夜の11時半でした。ターミナルにはホテルが併設されていますので、そこに泊まれば問題ないのですが、夜中の到着では何が起きるか分からず、落ち着きません。特に、サンサルバドルは中米でも最悪クラスの危険な街です。近年、マラスという麻薬と殺人を生業にする集団が有名になっていますが、街中では強盗や引ったくりが多く、人が少ない道を歩くだけで緊張します。

 今回、エルサルバドルにやってきたのは、世界遺産であるホヤ・デ・セレン遺跡を訪問するためです。また、ホヤ・デ・セレンの近くにあるサン・アンドレス遺跡にも行くことにしました。この二つの遺跡はサンサルバドルから西部の主要都市サンタ・アナに行く途中にあります。


給油休憩中のTICAバス(左)。車内では、こんな弁当が出ます(右)。

サンサルバドルの中心街の夜。アジア的な猥雑さに溢れてる。

 

暴走バスに恐怖を覚える…

市内の西ターミナルから出ている路線バスがホヤ・デ・セレン遺跡の前を通ります。ターミナルでバスに載る時、運転手に「ホヤ・デ・セレンに着いたら教えて下さい」と伝え、降り易いように運転席のすぐ後ろに座りました。これが、たまにある暴走バスだったのです。こちらのバスは、日本のように時間とスピードを管理されているわけではないため、運転手はルートを守る以外は好き勝手に運転します。

  私が乗ったバスは、幹線道路に出るや猛スピードで他の車をまくったり、かわしたりの連続。行く手を遮る車があると、空ぶかしで威し、追い抜きざまに、相手の運転手を睨み付けるのです。運転手の後ろに座った私にはすべてが見えるため、怖くて仕方ありません。こちらのチキンバスは安全性を無視した作りになっていますから、万一衝突などすれば、乗客は重症を負うか死ぬでしょう。

 乱暴な運転をするだけあって、この運転手はかなりの強面です。ただ、意外に親切で、遺跡の少し前から私に合図し「次の停留所だぞ」と教えてくれました。頼んでおいても無視する運転手もいますので、これは助かりました。

 ホヤ・デ・セレンの前でバスを降りると、思ったより立派な作りの施設がありました。中は熱帯植物が生い茂る公園のようになっています。

 

暴走バスの運転手は強面だが親切!?。

ホヤ・デ・セレン遺跡の入り口。

園内は植物園のように整備されていて、散歩も楽しい。

出土品の壷などを展示した博物館もある。

 

火山の爆発で埋もれたマヤの集落

ホヤ・デ・セレンは、火山の噴火によって発生した火山灰に埋もれた農耕集落の跡です。このため、「中米(メソアメリカ)のポンペイ」とも呼ばれています。文化的には、マヤ文化圏における南東の末端部に当たります。

  この地域は、古代から近隣の火山の爆発による被害を定期的に受けており、一時は人が住まない荒野になっていたそうです。ところが、西暦400年ころから人が住むようになり、次第に規模の大きい農耕集落になっていったのです。そして590年ころ、近隣のロマ・カルデラ山が大爆発を起こし、村は厚い火山灰に埋もれてしまったのです。

 灰に埋もれた住居跡から遺体は発見されていませんから、住民が逃げ遅れて亡くなることはなかったようです。火山の爆発を見た村人たちは大急ぎで避難したのでしょう、家財道具から用意された食事までもが後に残されました。また、降り積もった火山灰は比較的温度が低かったそうで、食物などが元の形を残しているなど、保存状態がかなりいいのが特長です。

住居跡。泥壁を用いた非常にしっかりした作りだ。

重要な集会に使われたと推測されている建物。

古代マヤの農民生活を垣間見る

遺跡は、雨や風に当たらないように、全体が屋根掛けされた巨大な施設の中にあり、厚い火山灰の堆積の中から掘り出したマヤの農民の家や貯蔵庫、儀式用の蒸し風呂などを見ることができます。このように、農民の日常生活が細かく推察できるようなマヤの遺跡は他に例がなく、古代文化の研究にとっては非常に重要な場所とされています。

 ちなみに、ホヤ・デ・セレンとは「セレンの宝石」という意味で、この遺跡の価値の高さを示す意味で名付けられそうです。1993年には世界遺産にも登録されました。集落跡というのは、遺跡好きにはどうしても物足りなさが残りますが、古代マヤの農民生活を垣間見れる場所は他にありませんから、これは見てよかったと思います。

儀式用のスチームバス。重要な儀式に参加する者たちが入浴した。

規模の大きい家屋。一軒の家が、母屋、貯蔵庫、調理場の3つの建造物で構成されている。

庭に展示されたスチームバスの復元模型。下で火を焚くことで水を沸騰させ、蒸気を上部の室内に取り込んで身体を清める仕組み。

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