ヤシャ遺跡の夕日

PR

 

中央アメリカ 遺跡と自然巡りの旅:第11回

グアテマラ

神秘のヤシャ遺跡に行く!



前回に戻る 目次に戻る 次回へ進む



ようやく見つかったヤシャ遺跡ツアー

サヤスチェからフローレスに戻ると、旅行社の若者から声を掛けられ「ヤシャ遺跡のツアーがある」と言われました。聞くと、2人の客が明日ヤシャに行くというのです。参加費はガイド込みで175Q。以前、キャンセルになったことがあるツアーですので、私はオフィスまで行き「確実にツアーが出る」と責任者に確認してから申し込みました。

 翌日、午後2時発のヤシャ遺跡ツアーに参加しました。なぜ、午後からの出発なのか不思議でしたが、後で理由が分かりました。同行の客は南米のチリから来た中年の夫婦でした。ツアーのワンボックスカーはサンタエレーナから東のベリーズ国境に向けて走り、途中で方向を北に変えます。1時間半ほどで遺跡の入り口に到着しました。

多くの旅行会社がオフィスを構えるフローレスの通り。

午後2時にツアーが出る理由は?

ヤシャ遺跡の入り口で、ガイドから入場料と延長料金について説明を受けました。遺跡の入場時間は午後6時までとなっており、残り2時間半ほどです。ただし、希望者は別料金を払えば6時以降も遺跡内にとどまることができるそうです。なぜ、暗くなる時間に遺跡内にいる意味があるのかというと、日没の景色が見れるからです。ツアーが午後2時発になっている理由もこれです。

 「このことを知らない一般客は6時前に帰ってしまうが、夕日がジャングルに落ちる景色は絶対に見たほうがいい」とガイドが言います。私たちが入場料と延長料を支払うと、料金を払った印であるリストバンドが配られました。通常の入場者がズルをして6時以降まで残るのを防ぐためでしょう。

遺跡の入り口にある案内板。

青い水と呼ばれる大規模都市

ヤシャ(Yaxha)は紀元前600年からこの地への居住が始まり、紀元後900年までという長い期間にわたって存続したマヤの都市です。この名前の意味はYax(青または緑)とha(水)を合わせたもので、「青(緑)い水」ということになります。このため、ヤシュハとも呼ばれます。

 遺跡内に入ると、まず、「小型天文観測用複合施設」というような名前の場所に出ます。ここにはきれいに修復された形の良いピラミッドがあります。説明によると、この複合施設が建設されたのは西暦700〜800年で、マヤ人はこの上から太陽の運行などの天体観測を行っていたそうです。小型と名付けられたのは、他に大型天文観測用複合施設があるからです。

 この建築物グループを見ただけでも、ヤシャがワシャクトゥンやアグアテカと比べて、かなり規模の大きな遺跡だという感じがします。

小型天文観測用複合施設の姿の良いピラミッド神殿。

規模が大きく、見所が多い遺跡

実際に回ってみると、この遺跡はかなり規模が大きく、ピラミッド、宮殿、球戯場など見所も多い遺跡であることが分かりました。特に印象に残ったのは、三つのピラミッド型神殿が向き合う北のアクロポリス、独特の形状をしたタブレロ神殿が建つ影の広場(Plaza de las sombras)、高さ30mを超える大ピラミッド「赤い手の神殿」が聳える東のアクロポリスです。

広場を囲んで3つのピラミッド型神殿が向き合っている北のアクロポリス。

中央のピラミッドの上に登ると、左右に位置するピラミッドがよく見える。

タルー・タブレロ様式の壁面を持つ建物で、タブレロ神殿と呼ばれる重厚感溢れるピラミッド。タブレロ(垂直)部分もあるが、全体的にはタルー(斜面)部分が多く、タルー神殿と呼んだほうがいいと思うのだが・・・。

宮殿の前の斜面に石碑が置かれている。ただし、これは複製品。本物は左手前の小屋の下。



ホエザルが木の上で遊んでいた!

歩いていると、周囲に響くホエザルの声が特に大きくなりました。遺跡に行く度に聞く声ですが、姿を見たことはまだありません。ガイドが「ヤシャ遺跡の中は観光客の数よりサルの数の方がはるかに多い」と言いながら、姿を探します。間もなく、木の上にいるホエザルを発見しました。「ようやく見れた!」と思ったのですが、その後で北のアクロポリスのピラミッドに登ると、なんとそのすぐ横の木の上で遊んでいるのです。猿としてはかなり大型ですが、怖ろし気な声に似合わず、顔は愛嬌があります。私たちがかなり近くにいるのに、気にする様子もなく、あくびをしたり、木からぶら下がって、逆立ちしたりしていました。

木の上でのんびり遊んでいたホエザル。人間が近づいても気にしない。

ヤシャ最大のピラミッド、赤い手の神殿に上る。

遺跡内部はかなり広く、様々な建造物がありますので、ガイドの説明を聞きながら歩くと時間がかかります。6時近くになり、夕日を見るために、この遺跡最大のピラミッドに向かいました。

 「赤い手の神殿」と呼ばれるピラミッドには、ティカルの4号神殿と同じように足場が設けてあり、楽に上ることができます。ピラミッド上部の神殿部分は森の上に出ていますので、周囲のジャングルと、その先にあるヤシャ湖が一望できます。夕日は、ヤシャ湖の先のジャングルに沈むのです。

 
遠望すると、赤い手の神殿は樹海の上に頭を出している。

階段型ピラミッドの赤い手の神殿。

神殿の横には、上部に登るための階段が設けられている。

ジャングルに沈む夕日を見る!

神殿の前に到着すると、すでに別のツアーの人たちが7〜8人腰かけて、沈みゆく夕日を眺めていました。すぐそばまで迫っている森ではたくさんの小型のサルたちが声をあげながら移動しています。ガイドが「クモザルだ。人間の数よりずっと多いだろう」と言います。クモザルは手足の長い中型のサルです。

 夕日はどこで見ても美しいですが、大自然の中で見るのは、また、格別です。この日の天気は、雲一つない、いわゆるドピーカンでした。ピラミッドの上で太陽の光を浴びながら、ジャングルや湖の色が変化する様子を見ていると、厳かな気持ちになります。昔、マヤの神官たちもここから太陽を見ていたことでしょう。そう考えると、古代と現代がつながる気がして、静かな感動が湧いてきます。

神殿の上から見ると他のピラミッドがジャングルに埋もれて見える。

ピラミッド上部にある神殿の前で夕日を眺める人たち。

いつまでも心に残る光景

太陽がジャングルの漆黒の影に溶けるように沈み込んでいき、辺りを闇が包みはじめる頃、私たちはピラミッドを降りて帰路に着きました。単純とは思いますが、感動の余韻がいつまでも残っており、車の中で、私とチリ人の夫婦は上機嫌でいろいろな話を続けたものです。

湖の先のジャングルに沈み行く夕日。

線


「第10回」に戻る

 

「第12回」に続く



 
ラテンアメリカ博物館
Copyright 2016, K.Norizuki.all rights reserved